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2025-11-19 23:58:00
冬に眠くなる原因の一つ「冬季うつ(季節性情動障害)」とは?
冬に強い眠気を感じる原因として、冬季うつ(Seasonal Affective Disorder:SAD)が知られています。
これは季節性うつ病の一種で、冬の時期だけうつ病に似た症状が出現することが特徴です。
研究では、冬季うつは一般的なうつ病の症状(気分の落ち込み、意欲低下、疲労感など)に加えて、過眠(睡眠時間が長くなる) 過食(特に炭水化物への渇望)
といった特徴的な症状が多く、本人が「うつ病」と気づかないケースも少なくないことが示されています。
◆発症の背景:日照時間の減少による生体リズムの乱れ
冬季うつの主な原因は、冬場の日照時間の減少です。
太陽光を浴びる量が減ると、脳内では次のような変化が起こりやすくなります:
① メラトニンの分泌リズムの乱れ
メラトニンは「睡眠を調整するホルモン」。
日照が不足するとメラトニン分泌が過剰または遅延し、眠気が強くなる/朝起きづらい/日中の覚醒が保ちにくいなど、生体リズムが崩れます。
② セロトニン活性の低下
日光は「セロトニン(気分を安定させる神経伝達物質)」を活性化させます。
冬場はこれが低下し、気分の落ち込み/意欲の低下/疲れやすさにつながります。
これらの変化が重なることで、強い眠気・食欲増進・気分低下などの『冬季うつ』特有の症状が起こりやすくなると考えられています。
◆治療法:光照射療法が科学的に有効
冬季うつの治療法として代表的なのが、光照射療法(ライトセラピー)です。
これは専用の高照度ライト(通常10,000ルクス程度)を用いて、朝に人工的な強い光を浴びる療法で、
体内時計の調整/メラトニンリズムの正常化/セロトニン活性改善
などが期待され、臨床研究でも効果が報告されています。