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条件が揃うと失神する可能性のある排尿性失神

起きてトイレに行った瞬間、ふらっとめまいがしたことはありませんか?
特に男性に多く報告されている「排尿性失神(micturition syncope)」は、排尿による血圧の急低下が原因で、一時的に意識を失ってしまう現象です。
これは特別な疾患がある人だけの問題ではなく、誰にでも起こりうる生理反応。
とくに不規則な生活や運動不足が続いている方は、知らぬ間にリスクを高めている可能性があります。
【排尿性失神とは?】
「排尿性失神(Micturition Syncope)」とは、トイレで排尿中または直後に血圧が急激に下がり、脳への血流が不足して意識を失う現象です。
特に男性・中高年層・早朝や深夜の排尿時に多く発生する傾向があります。
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膀胱に尿がたまると交感神経が優位になり血圧が上がる
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排尿で副交感神経が急激に働くと血圧が急降下
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これが意識消失の原因となる
これらは「血管迷走神経反射」と呼ばれる反応の一種で、似たような反応は起立性低血圧、排便時失神、咳失神などでも見られます。
■参考文献:
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Freeman, R. et al. (2011). Syncope: Mechanisms and Management. American Heart Association Journal.
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Wieling, W. et al. (2008). Pathophysiology of vasovagal syncope. Neurology.
以下のような条件が重なると、失神のリスクがさらに高まります:
リスク要因 | 内容 |
---|---|
睡眠直後 | 自律神経の調整が未発達な状態 |
飲酒 | アルコールが血管を拡張させ血圧を下げる |
塩分過多 | 体内の水分保持量が増加し、排尿時の血圧変動を増大させる |
長時間の排尿我慢 | 膀胱が大きくなり、急激な副交感神経優位で低血圧に |
【失神を防ぐ生活習慣と運動のすすめ】
■1. 朝の動きはゆっくりと
目覚めてすぐ立ち上がるのではなく、1分ほどベッド上で身体を慣らしてから起き上がることが推奨されます(起立性低血圧対策として医療機関でも指導されています)。
■2. トイレは“座って”行う
特に男性は立位での排尿時に血圧低下の影響を受けやすいため、献血後や疲労時は座って排尿することが推奨されています。
■3. 筋力トレーニングが予防に
とくにふくらはぎや太ももの筋肉(下半身のポンプ機能)は、重力に抗して血液を心臓に戻す大切な役割を担っています。
運動不足で筋力が落ちていると、脳への血流が保てず、立ちくらみや失神が起こりやすくなります。
【まとめ】
「排尿性失神」は決して珍しい症状ではありません。
不規則な生活や運動不足、過度な飲酒・塩分摂取など、日常の積み重ねが原因になることも多くあります。
だからこそ、日常の運動習慣と生活の見直しが最大の予防策です。
一般的なダイエットの考え方をみてみましょう ③ジョギングやウォーキングをする

【ダイエット最終章】「運動すれば痩せる」は本当か?カロリー神話に終止符を。
◆運動=痩せる、は間違い?
「毎日ジョギングしてるのに痩せない…」
「ウォーキングしてるから食事は気にしなくていいでしょ?」
こんな声、ジムでもよく聞きます。
もちろん運動は健康に不可欠ですが、ダイエット=運動すれば痩せるという考え方は、実は大きな誤解です。
◆運動で減るカロリーは意外と少ない
体重60kgの人が30分運動した場合のカロリー消費量は…
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バレーボール・ボウリング:約95kcal
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テニスの試合:約142kcal
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クロール10分:約87kcal
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フルマラソン:約2500kcal
驚くべきは体脂肪1kgを燃焼するには7200kcal必要ということ。
フルマラソン完走でやっと350gの脂肪燃焼です。
つまり、体脂肪を減らすには、運動よりも「食事の見直し」が圧倒的に効率的なんです。
📚【参考論文】
Donnelly, J. E. et al. (2009). Appropriate physical activity intervention strategies for weight loss and prevention of weight regain for adults. Med Sci Sports Exerc.
Hall, K. D. et al. (2012). Quantification of the effect of energy imbalance on bodyweight. The Lancet.
◆「減った体重」は本当に脂肪?
「サウナ入ったら2kg減った!」「フルマラソンで3kg落ちた!」
これ、脱水による一時的な体重減少で、脂肪が減ったわけではありません。
水を飲めばすぐ元通り。
ジムの体重計も、入浴後に測るためのものではありません。
◆それでも運動は必要です
じゃあ運動は意味がない?
そんなことはありません!
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筋肉をつけて基礎代謝を上げる
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生活習慣病の予防
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引き締まったカラダをつくる(ボディメイク)
運動は「痩せるための手段」ではなく、「健康的で美しいカラダをつくるための土台」です。
ただし、「食事管理」とセットで行わなければ意味がありません。
◆有酸素運動は「お腹が減る」
ジョギングやウォーキングは健康に良いですが、長時間行うと空腹感が強まりやすくなります。
結果、食べ過ぎてしまっては本末転倒。
さらに、フォームが間違っていると膝や腰を痛めてしまうことも。
◆本当に必要なのは「1日の適正カロリー」を知ること
ダイエットとは、1日に必要なエネルギー(メンテナンスカロリー)に対してどれだけ余分に摂っているかを調整する行為です。
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基礎代謝(=何もしなくても消費されるカロリー)
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日常活動や運動で消費されるカロリー
この合計が、あなたが1日に必要とする「メンテナンスカロリー」。
ダイエットとは、これを少し下回る食事に調整することです。
✅ 無理に食べないダイエットはリバウンドの原因になります
◆ジムに通っている皆さんへ
すべてを自分で計算する必要はありません。
私たちトレーナーがそのためにいます。
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カロリーの計算
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運動の継続性の設計
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生活リズムに合わせたアドバイス
一人ひとりの体質やライフスタイルに合わせて、「続けられるダイエット」を一緒に組み立てていきましょう。
一般的なダイエットの考え方をみてみましょう ②の追加

【一般的なダイエットの落とし穴②】
~糖質制限が必ずしも脂肪減少に直結しない理由~
多くの方が「糖質を摂ると太る」と思い込み、炭水化物を極端に制限するダイエットを実践しています。
しかし、糖質=脂肪になるという単純な構図は、実は大きな誤解を含んでいます。
■糖質はどのくらい脂肪になるのか?
糖質が体内で中性脂肪に変換される割合は非常に低く、
糖質1gが脂肪として蓄積されるのは約0.28g程度とされています(※1)。
つまり、仮に100gの糖質を“余分に”摂ったとしても、脂肪として蓄積されるのは約28g程度。
日常生活で1000gもの糖質を一度に摂取することは現実的ではないため、
「糖質を少し多めに食べただけで太る」というのは誤解であることが分かります。
■本当に太る原因は“脂質”の過剰摂取
ここで注目すべきは「脂質」です。
糖質とは異なり、脂質は摂取されたものがそのままほぼ100%の効率で体脂肪に変換されます(※2)。
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脂質100g摂取 → そのまま100gの脂肪に
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糖質100g摂取 → 約28gの脂肪に(しかも適正カロリーを超えた場合に限る)
つまり、“効率的に太る栄養素”は脂質なのです。
■脂質の摂りすぎを避けることが、ダイエットの本質
脂質を多く含む食品は、揚げ物、洋菓子、ナッツ、ドレッシング類など、日常に溶け込みやすいため意識していないと過剰摂取になりがちです。
糖質を制限するあまり、結果として脂質の摂取量が増えてしまっては本末転倒です。
本当に気をつけるべきは糖質ではなく脂質。
■まとめ:本当に効率の良い「太り方」とは?
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糖質を過剰摂取しても、脂肪には変換されにくい
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脂質は摂った分がそのまま脂肪になる
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消費カロリーを超えない限り、脂肪は増えない
つまり、太らない体を作るには、脂質のコントロールと全体の摂取カロリーの管理が鍵となります。
🔬【参考文献・科学的根拠】
※1:Acheson KJ, et al. (1988). "Glycogen storage capacity and de novo lipogenesis during massive carbohydrate overfeeding in man." Am J Clin Nutr.
https://doi.org/10.1093/ajcn/48.2.240
※2:Hellerstein MK. (1999). "De novo lipogenesis in humans: metabolic and regulatory aspects." Eur J Clin Nutr.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10490743/