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夏は痩せにくく、冬は痩せやすい?

先日の健康講習会でも講義させていただきました
―体温調節とカロリー消費のメカニズム―
「冬のほうが太りやすい」と思われがちですが、実は寒い季節の方がカロリーを多く消費しているという事実、ご存知でしたか?
人間の身体は常に「体温を一定(約36~37℃)」に保とうとしています。
外の気温が寒いと、身体は体温を維持するために熱を生み出し、その分エネルギー(カロリー)を使うのです。
この反応は「熱産生(thermogenesis)」と呼ばれます。
🧊寒いと「カロリー消費」が増える理由
冬などの外気温が10℃を下回るような環境では、体内との温度差が大きくなります。
この差に適応するため、体は筋肉を震わせたり(ふるえ産熱)、褐色脂肪組織を活性化させたりして熱を作り出します。
これにより、基礎代謝に加えて“追加のエネルギー”が必要になるのです。
つまり、「寒さに適応する=カロリーを消費している」ということ。
☀️では、暑い夏はどうなのか?
一方、夏のように外気温が高くなると、身体は「熱を放出する方向で体温調節」をします。
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汗をかく
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皮膚血管を拡張して熱を逃がす
これらの反応自体にも、わずかながらエネルギーは使われますが、寒さに比べると消費量は少なめ。
ただし、基礎代謝が高い人は、暑さへの適応にもより多くのエネルギーを使う可能性があります。
💧水分摂取の大切さ
暑い時期は、体温を下げるためにたくさん汗をかきます。
体温を1℃下げるには、100mlほどの汗が必要ともいわれています。
汗の分泌や循環系の働きをスムーズにするためには、普段から水分をしっかり摂っておくことが重要です。
水分不足になると、熱中症だけでなく、代謝効率も低下してしまいます。
✅まとめ
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冬は寒さに適応するため、体が熱を作る=カロリーを多く消費
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夏は汗で体温調節をするが、カロリー消費量は冬ほどではない
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基礎代謝が高い人ほど、体温調整に使うエネルギーも大きくなる可能性
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日頃から水分摂取と代謝向上が大切
運動に加えて「日常の代謝活動」にも目を向けることで、健康的な身体づくりがより効率的になります。
当ジムでは、科学的根拠に基づいたプログラムを提供し、皆様のコンディションに合わせた運動指導を行っています。
🧠参考文献(学術論文)
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van Marken Lichtenbelt et al. (2009)
Cold-activated brown adipose tissue in healthy men.
New England Journal of Medicine, 360(15), 1500–1508.
→ 寒冷環境における熱産生とエネルギー消費の増加に関する研究 -
Blatteis CM (2006)
Endothermic thermoregulation in humans during heat stress and cold exposure.
Temperature Regulation and Climate Adaptation
→ 気温変化への適応と体温調節の仕組み -
Morrison SF (2016)
Central control of body temperature.
F1000Research, 5, F1000 Faculty Rev-880.
→ 神経系による体温調節の制御と代謝関連の議論