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2020-02-23 23:30:00
ヒトはなぜ海水がダメ??
塩水でも水は「水」。
しかし海水を飲んでも、人は体内に水分を補給する事にはなりません。
それはなぜか?
海水の塩分濃度は約3.5%。これに対し、人間の体液の塩分濃度は約0.9%。
生理食塩水の濃度とほぼ同じです。
余談ですが、僕が花粉症や細菌予防で鼻うがいの時にコンタクトレンズ用の生理食塩水を推奨していますがこのためです。
この塩分濃度によって体液の浸透圧は一定に保たれ、生命活動が営まれています。
もし海水を飲み、その水分の塩分(ナトリウムや塩素などのミネラル)も、腸から吸収されたとすると、
浸透圧を維持するためには、体液より濃度の濃い分、つまり余分なミネラルを体外へ排出しなければなりません。
ヒトのミネラルの排出経路は「尿」になります。
ここで問題が生じます。
海水のミネラル分を排出するには、海水より高い塩分濃度の尿をつくらないと摂取した分より多い水分が尿として排出されてしまいます。
残念ながらヒトは海水よりも高濃度の尿を作ることはできません。
海水を飲めない理由は、実は肝臓の尿の濃縮機能にあります。
ヒトが海水を1ℓ飲むと、余分な塩分を排出するために1.35ℓの尿が排出されます。
要するに1ℓ飲むごとに0.35ℓも余分に失い続けます。
缶ジュース350㎖と同じ。
それによって海水を飲み続けることによって脱水症状がひどくなり、体液の浸透圧を一定に保てず、命の危険になるという事です。
一方、海で暮らすクジラやイルカは、尿の濃縮度が高いゆえに、海水を飲んでも水分を体内に補給できるというわけです。