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一般的なダイエットの考え方をみてみましょう ②糖質を抑えている人

【食べないダイエットは逆効果】
―糖質制限の落とし穴―
「白いご飯は太るから控えています」「炭水化物は抜いてます」
こうした声は、今やダイエットの常套句になっています。確かに、白米1杯(約150g)には約55gの糖質が含まれており、「糖質のかたまり」と表現されるのも間違いではありません。
しかし
白米=悪、糖質=敵。
このように単純な「悪者探し」になってしまっていないでしょうか?
■糖質制限のルーツと誤解
もともと糖質制限は、糖尿病患者に対する医療的な食事療法として発展してきました。
そこでは管理栄養士が綿密にカロリーと栄養バランスを設計しています。
自己判断で「糖質を抜けば脂肪が燃えるはず」と始めてしまうのは、片手落ちなのです。
糖質が入ってこなければ体は脂肪を燃焼させようとします。これは「糖新生」や「ケトーシス」と呼ばれる生理現象です。
一見、脂肪燃焼に効果的に思えるかもしれませんが、長期的な糖質不足は以下のような悪影響を招くことが知られています。
■過度な糖質制限のリスク
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筋肉量の減少(糖新生による筋分解)
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集中力・判断力の低下(脳の主要エネルギー源は糖質)
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代謝の低下(エネルギー不足による防御反応)
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女性における月経異常やホルモンバランスの乱れ
これらは、単に「食べない」ことによる栄養不足とも重なります。
そして結果的に「痩せにくく太りやすい体質」になってしまうのです。
■なぜ“糖質だけ”が狙われるのか?
脂肪は糖質だけでなく、脂質からも、タンパク質からも合成されます。
糖質だけを極端に抑えることは、例えるなら「ソースやしょうゆを全部禁止する」ようなもの。
少しなら美味しくて身体にも良いものを、極端に避けるのは本末転倒です。
何事もバランス。
運動も食事も「ちょうどよい加減」が最も体にとって正しい方法なのです。
■たまたま成功する人もいるが…
自己流で「カロリー制限」や「糖質制限」をした結果、たまたま摂取量のバランスが整って成功する人もいます。
しかしそれは、まさに宝くじを当てるようなもの。
あなたの身体は、**一生付き合っていく“資本”**です。効率的に、そして安全に整えるには、「知識」と「計画」が必要です。
■まとめ:正しい糖質との付き合い方
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糖質=悪ではない
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抜きすぎは、筋肉や代謝に悪影響
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継続できる食事は、バランスを大切に
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成功には“運”より“戦略”を
Honey Larvaでは、個々のライフスタイルや体質に合わせた栄養指導・トレーニング指導を行っています。「ただ抜く」「ただ減らす」から卒業しませんか?
🔎 参考文献・エビデンス
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厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2020年版)』
→ 総エネルギーの50~65%を糖質から摂取することが推奨。 -
WHO (2015) Guideline: Sugars intake for adults and children
→ 遊離糖類は1日25g未満が望ましいと明記。 -
Naude et al., 2014, PLOS ONE
→ 低糖質ダイエットと従来型のバランス食との比較。長期的な体重減少に明確な差はなし。 -
Gillen et al., 2013, Journal of Applied Physiology
→ 筋トレ中の低糖質ダイエットが筋合成に及ぼす影響を検証。低糖質では筋量が減少しやすい傾向。
一般的なダイエットの考え方をみてみましょう ➀食事を控えている人

【食べなきゃ痩せない?】「食べないダイエット」が逆効果な理由
「食べたら太る」は当たり前。でも実は「食べなきゃ痩せない」も、当たり前なのです。
■食べない=痩せる、は間違い
食べなければ、確かに体重は一時的に落ちます。
しかしそれは、胃の中の食べ物がなくなったり、水分やグリコーゲンが抜けたりするだけのこと。
本当に落としたい「体脂肪」は、むしろ減りにくくなっていきます。
理由は代謝の低下です。
身体は飢餓状態を感じると、省エネモードに入り、基礎代謝を落としてカロリー消費を減らします。
その結果、筋肉が分解されて減り、脂肪を残すという状態になってしまうのです。
この現象は「サルコペニア肥満(筋肉が減って脂肪が相対的に多くなる状態)」と呼ばれ、見た目にも不健康で、病気のリスクも高まります。
■「食べるからこそ、痩せる」仕組み
基礎代謝とは、寝ていても心臓や脳を動かすために必要な最低限のエネルギーです。
これを下回る摂取量が続くと、筋肉の分解(糖新生)が進み、体は「守るべき筋肉を削って生きようとする」モードになります。
逆に、適切な栄養とカロリーを摂ることで、筋肉を守りながら脂肪を燃やす代謝が可能になります。
ダイエット中こそ「食べること」で、痩せやすく、リバウンドしにくい身体をつくることが大切です。
■参考研究
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Gillen & Gibala, 2014
>「極端なエネルギー制限は代謝機能を損ない、筋肉量の減少を招く」と警告しており、適度なエネルギー制限と運動の併用が最も有効とされています。
>(Journal of Physiology) -
Stiegler & Cunliffe, 2006
>「低エネルギー食では、筋肉量の減少が体重減少に大きく寄与し、体脂肪率がむしろ上がる可能性がある」としています。
【要注意】ウコンドリンクは本当に肝臓を守るのか?

康食品の“イメージ”と“医学的事実”のギャップに迫る
「お酒の前にウコンドリンク」――
これはテレビCMやネット広告などでよく目にする健康習慣のひとつです。
しかし、運動や栄養の“本質”を大切にしている当ジムでは、こういった「イメージ先行」の健康習慣に対して、実際にどのような科学的根拠があるのか?を丁寧に紐解いていきたいと考えています。
◆ ウコンドリンクに「肝臓を守る」医学的根拠はあるのか?
まず結論から言えば、ウコンドリンクに「肝臓を守る」「二日酔いを防ぐ」といった効果を医学的に支持する信頼性の高い研究は存在しません。
むしろ、過剰な摂取は健康を害するリスクがあるという報告も複数存在しています。
◆ 鉄分の過剰がもたらす「逆効果」
ウコンには鉄分が非常に多く含まれることが知られています。
これが肝臓にどう影響するか――
実は、アルコール性肝障害の患者の肝臓には鉄が沈着しているという研究報告があり、鉄の過剰摂取が肝障害を悪化させるリスクがあるのです。
📚 参考文献:
Witte D. et al. (2000). Iron overload and alcoholic liver disease. Alcohol.
Stickel F, Schuppan D. (2007). Herbal medicine in the treatment of liver diseases. Digestive and Liver Disease.
◆ 劇症肝炎を引き起こす例も
さらに深刻なのが、ウコンに関連した劇症肝炎の症例報告です。
特に以下のような基礎疾患を持つ方には注意が必要です:
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C型慢性肝炎
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B型慢性肝炎
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2型糖尿病
これらの方がウコン製品を摂取した結果、命にかかわる重篤な肝炎を発症した事例が確認されています。
◆ 健康食品やサプリメントは「効く」より「効かないリスク」に注意
ウコンドリンクやシジミ製品(シジミ汁など)に含まれる鉄分の多さは、“良かれと思ってやったこと”が裏目に出る代表例です。
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少量なら問題なし
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「肝臓にいい」と過信して大量摂取 → 危険
とくに「飲酒前にウコン」など習慣化した過剰摂取はリスクを高めます。
◆ ジムとして伝えたいこと
私たちのジムでは、運動や栄養指導を行う際に、「本当に効果があるのか」という科学的根拠に基づいたアプローチを大切にしています。
ウコンのような健康食品は、必要な人に、必要な量だけ。
大切なのは、体にとって本当に有益な行動かどうかを見極めることです。
✅まとめ:ウコン製品は“注意が必要”な健康食品
項目 | 内容 |
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効果の根拠 | 「肝臓を守る」効果を示す明確な医学的エビデンスは乏しい |
鉄分の過剰摂取リスク | アルコール性肝障害を悪化させる可能性がある |
副作用の報告 | 劇症肝炎や急性肝炎の症例が報告されている |
安全な利用法 | 過剰摂取は避け、特定疾患のある方は医師に相談を |
温泉×運動×クオリティ・オブ・ライフ

フランスの温泉療法から学ぶ、健康づくりのヒント
私たちのジムは、運動による身体機能の向上だけでなく、「健康の質=クオリティ・オブ・ライフ(QOL)」の向上を重視しています。
その中で注目したいのが、フランスにおける「温泉療法」と保険制度の連携です。
◆ フランスでは温泉療法が“医療”として認められている
フランスでは、温泉での療養(サーモリズム:Thermalisme)が国家によって医療として位置づけられ、なんと治療費の65%が健康保険でカバーされます。
対象となる疾患は以下のように多岐にわたります。
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呼吸器疾患(喘息、慢性気管支炎など)
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血管系疾患(静脈瘤など)
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消化器疾患(胃腸障害など)
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関節疾患(関節リウマチ、慢性痛など)
この制度は、医師による処方のもとでの温泉療養に限られるものですが、科学的な裏付けに基づき国家レベルで整備されており、予防医療とQOL向上の重要な柱となっています。
📚 参考論文:
Haro, J.M. et al. (2005). Health and wellness tourism: a European overview. International Journal of Tourism Research.
Bender, T. et al. (2007). Evidence-based hydro- and balneotherapy in Hungary—a systematic review and meta-analysis. International Journal of Biometeorology.
◆ 骨盤底筋ケアも「保険適用」!?
さらに驚くことに、フランスでは骨盤底筋のリハビリテーション(尿失禁予防など)も保険対象となっており、女性の産後ケアや高齢者のQOL改善にも積極的です。
これは、日本ではまだ一部の自由診療に限られている分野であり、「身体機能の維持・改善」を国家レベルで支えるフランスの方針が際立っています。
◆ スポーツ振興でも先を行くフランス
少し視点を変えてみましょう。
実はフランスは「柔道」大国でもあります。
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柔道人口:約50万人(日本は約20万人)
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そのうち60%が小学生年代(日本は約20%)
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柔道による死亡事故は「ゼロ」
フランスでは柔道が教育・医療・社会福祉と連動し、職業としての地位や指導者の体制もしっかり整えられていることがわかります。
日本のこれからに必要なこと事、それはフランスのような「運動・保養・医療の連携モデル」は、これからの日本にも必要な視点だと私たちは考えています。
私たちのジムでは、
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科学的根拠に基づいたトレーニング
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温泉・入浴に関する正しい知識の啓発(温泉ソムリエ・温泉入浴指導員の有資格者が在籍)
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地域に根ざした健康づくりの提案
を通じて、みなさんの「健康寿命の延伸」と「快適な日常」を支えていきます。
夏は痩せにくく、冬は痩せやすい?

先日の健康講習会でも講義させていただきました
―体温調節とカロリー消費のメカニズム―
「冬のほうが太りやすい」と思われがちですが、実は寒い季節の方がカロリーを多く消費しているという事実、ご存知でしたか?
人間の身体は常に「体温を一定(約36~37℃)」に保とうとしています。
外の気温が寒いと、身体は体温を維持するために熱を生み出し、その分エネルギー(カロリー)を使うのです。
この反応は「熱産生(thermogenesis)」と呼ばれます。
🧊寒いと「カロリー消費」が増える理由
冬などの外気温が10℃を下回るような環境では、体内との温度差が大きくなります。
この差に適応するため、体は筋肉を震わせたり(ふるえ産熱)、褐色脂肪組織を活性化させたりして熱を作り出します。
これにより、基礎代謝に加えて“追加のエネルギー”が必要になるのです。
つまり、「寒さに適応する=カロリーを消費している」ということ。
☀️では、暑い夏はどうなのか?
一方、夏のように外気温が高くなると、身体は「熱を放出する方向で体温調節」をします。
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汗をかく
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皮膚血管を拡張して熱を逃がす
これらの反応自体にも、わずかながらエネルギーは使われますが、寒さに比べると消費量は少なめ。
ただし、基礎代謝が高い人は、暑さへの適応にもより多くのエネルギーを使う可能性があります。
💧水分摂取の大切さ
暑い時期は、体温を下げるためにたくさん汗をかきます。
体温を1℃下げるには、100mlほどの汗が必要ともいわれています。
汗の分泌や循環系の働きをスムーズにするためには、普段から水分をしっかり摂っておくことが重要です。
水分不足になると、熱中症だけでなく、代謝効率も低下してしまいます。
✅まとめ
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冬は寒さに適応するため、体が熱を作る=カロリーを多く消費
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夏は汗で体温調節をするが、カロリー消費量は冬ほどではない
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基礎代謝が高い人ほど、体温調整に使うエネルギーも大きくなる可能性
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日頃から水分摂取と代謝向上が大切
運動に加えて「日常の代謝活動」にも目を向けることで、健康的な身体づくりがより効率的になります。
当ジムでは、科学的根拠に基づいたプログラムを提供し、皆様のコンディションに合わせた運動指導を行っています。
🧠参考文献(学術論文)
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van Marken Lichtenbelt et al. (2009)
Cold-activated brown adipose tissue in healthy men.
New England Journal of Medicine, 360(15), 1500–1508.
→ 寒冷環境における熱産生とエネルギー消費の増加に関する研究 -
Blatteis CM (2006)
Endothermic thermoregulation in humans during heat stress and cold exposure.
Temperature Regulation and Climate Adaptation
→ 気温変化への適応と体温調節の仕組み -
Morrison SF (2016)
Central control of body temperature.
F1000Research, 5, F1000 Faculty Rev-880.
→ 神経系による体温調節の制御と代謝関連の議論