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温泉×運動×クオリティ・オブ・ライフ

フランスの温泉療法から学ぶ、健康づくりのヒント
私たちのジムは、運動による身体機能の向上だけでなく、「健康の質=クオリティ・オブ・ライフ(QOL)」の向上を重視しています。
その中で注目したいのが、フランスにおける「温泉療法」と保険制度の連携です。
◆ フランスでは温泉療法が“医療”として認められている
フランスでは、温泉での療養(サーモリズム:Thermalisme)が国家によって医療として位置づけられ、なんと治療費の65%が健康保険でカバーされます。
対象となる疾患は以下のように多岐にわたります。
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呼吸器疾患(喘息、慢性気管支炎など)
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血管系疾患(静脈瘤など)
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消化器疾患(胃腸障害など)
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関節疾患(関節リウマチ、慢性痛など)
この制度は、医師による処方のもとでの温泉療養に限られるものですが、科学的な裏付けに基づき国家レベルで整備されており、予防医療とQOL向上の重要な柱となっています。
📚 参考論文:
Haro, J.M. et al. (2005). Health and wellness tourism: a European overview. International Journal of Tourism Research.
Bender, T. et al. (2007). Evidence-based hydro- and balneotherapy in Hungary—a systematic review and meta-analysis. International Journal of Biometeorology.
◆ 骨盤底筋ケアも「保険適用」!?
さらに驚くことに、フランスでは骨盤底筋のリハビリテーション(尿失禁予防など)も保険対象となっており、女性の産後ケアや高齢者のQOL改善にも積極的です。
これは、日本ではまだ一部の自由診療に限られている分野であり、「身体機能の維持・改善」を国家レベルで支えるフランスの方針が際立っています。
◆ スポーツ振興でも先を行くフランス
少し視点を変えてみましょう。
実はフランスは「柔道」大国でもあります。
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柔道人口:約50万人(日本は約20万人)
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そのうち60%が小学生年代(日本は約20%)
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柔道による死亡事故は「ゼロ」
フランスでは柔道が教育・医療・社会福祉と連動し、職業としての地位や指導者の体制もしっかり整えられていることがわかります。
日本のこれからに必要なこと事、それはフランスのような「運動・保養・医療の連携モデル」は、これからの日本にも必要な視点だと私たちは考えています。
私たちのジムでは、
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科学的根拠に基づいたトレーニング
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温泉・入浴に関する正しい知識の啓発(温泉ソムリエ・温泉入浴指導員の有資格者が在籍)
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地域に根ざした健康づくりの提案
を通じて、みなさんの「健康寿命の延伸」と「快適な日常」を支えていきます。
夏は痩せにくく、冬は痩せやすい?

先日の健康講習会でも講義させていただきました
―体温調節とカロリー消費のメカニズム―
「冬のほうが太りやすい」と思われがちですが、実は寒い季節の方がカロリーを多く消費しているという事実、ご存知でしたか?
人間の身体は常に「体温を一定(約36~37℃)」に保とうとしています。
外の気温が寒いと、身体は体温を維持するために熱を生み出し、その分エネルギー(カロリー)を使うのです。
この反応は「熱産生(thermogenesis)」と呼ばれます。
🧊寒いと「カロリー消費」が増える理由
冬などの外気温が10℃を下回るような環境では、体内との温度差が大きくなります。
この差に適応するため、体は筋肉を震わせたり(ふるえ産熱)、褐色脂肪組織を活性化させたりして熱を作り出します。
これにより、基礎代謝に加えて“追加のエネルギー”が必要になるのです。
つまり、「寒さに適応する=カロリーを消費している」ということ。
☀️では、暑い夏はどうなのか?
一方、夏のように外気温が高くなると、身体は「熱を放出する方向で体温調節」をします。
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汗をかく
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皮膚血管を拡張して熱を逃がす
これらの反応自体にも、わずかながらエネルギーは使われますが、寒さに比べると消費量は少なめ。
ただし、基礎代謝が高い人は、暑さへの適応にもより多くのエネルギーを使う可能性があります。
💧水分摂取の大切さ
暑い時期は、体温を下げるためにたくさん汗をかきます。
体温を1℃下げるには、100mlほどの汗が必要ともいわれています。
汗の分泌や循環系の働きをスムーズにするためには、普段から水分をしっかり摂っておくことが重要です。
水分不足になると、熱中症だけでなく、代謝効率も低下してしまいます。
✅まとめ
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冬は寒さに適応するため、体が熱を作る=カロリーを多く消費
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夏は汗で体温調節をするが、カロリー消費量は冬ほどではない
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基礎代謝が高い人ほど、体温調整に使うエネルギーも大きくなる可能性
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日頃から水分摂取と代謝向上が大切
運動に加えて「日常の代謝活動」にも目を向けることで、健康的な身体づくりがより効率的になります。
当ジムでは、科学的根拠に基づいたプログラムを提供し、皆様のコンディションに合わせた運動指導を行っています。
🧠参考文献(学術論文)
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van Marken Lichtenbelt et al. (2009)
Cold-activated brown adipose tissue in healthy men.
New England Journal of Medicine, 360(15), 1500–1508.
→ 寒冷環境における熱産生とエネルギー消費の増加に関する研究 -
Blatteis CM (2006)
Endothermic thermoregulation in humans during heat stress and cold exposure.
Temperature Regulation and Climate Adaptation
→ 気温変化への適応と体温調節の仕組み -
Morrison SF (2016)
Central control of body temperature.
F1000Research, 5, F1000 Faculty Rev-880.
→ 神経系による体温調節の制御と代謝関連の議論
ドライアイの真実:涙ではなく“油”がカギだった

従来、ドライアイといえば「涙の分泌不足」が原因とされ、人工涙液の点眼で涙を補う治療が主流でした。
しかし、近年の研究や現場での観察から、この常識は大きく揺らいでいます。
日本有数の眼科医である深作秀春医師(深作眼科)が指摘するように、ドライアイの真の原因の約80%は「涙の油成分の不足」にあるとされています.
この油分は、まぶたの縁にあるマイボーム腺から分泌されるもので、涙が蒸発せずに目の表面にとどまり続けるために不可欠な成分です。
■ マイボーム腺とは?
マイボーム腺は、まぶたの内側に多数並ぶ皮脂腺で、「涙の油層」を作り出します。
この油層がなければ、涙はすぐに蒸発し、目が乾いてしまいます。
■ ドライアイの3大原因(近年の見解)
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マイボーム腺機能不全(MGD):約80%
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涙液分泌の低下:およそ10%
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結膜や角膜の炎症などによるドライアイ:残りの10%
■ 近年の研究紹介
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Nelson et al., 2011 のレビューでは、ドライアイ患者の**86%がマイボーム腺機能不全(MGD)**を有していたことが報告され、従来の「涙不足説」が再考される契機となりました。
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また、Geerling et al., 2017では、MGDがドライアイの主要原因であり、点眼薬による一時的な潤いでは根本的な改善に至らないと指摘されています。
■ 現場での治療の転換
こうした知見から、現在はマイボーム腺を温めて詰まりを解消したり、油分を含む点眼薬(例:ジクアス、ヒアレイン油性点眼)を使用したりする治療が注目されています。
私たちの体は、構造も機能も「油(脂質)」と深い関わりを持っています。筋肉を動かす関節も「潤滑油」が必要なように、目もまた同様です。
単に「潤いを補う」のではなく、「油を出せる体」に整える。それがドライアイの根本解決のカギである、という新たな視点が今、広がり始めています。
【参考文献】
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Nelson JD, et al. (2011). The international workshop on Meibomian Gland Dysfunction: report of the definition and classification subcommittee. Invest Ophthalmol Vis Sci. 52(4):1930–1937.
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Geerling G, et al. (2017). The International Workshop on Meibomian Gland Dysfunction: executive summary. Ocul Surf. 15(4):576–585.